2001.08.25 JG1EAD
以下の改造レポートは、Fujiayam開発チームの公式サポートの対象ではなく、私個人の興味本位の実験ですので、仮にみなさんが改造に失敗しても、開発チームはもとより、私としても何ら責任を負えません。追試等はあくまでも各自の自己責任の範囲でお願いします。また、文中で用いられている「Fujiyama40」は、Fujiyamaの40m改造機に私が勝手に命名した呼称であり、そのようなキットの頒布を予定しているというような事実は一切ありません。hi
まず、改造にあたって特に考慮すべき点から。
以上の点を踏まえ、7MHz改造にあたって、まずIFフィルタを4.9152MHzの水晶によるラダー型フィルタに変更することにしました。この水晶は、汎用品として安く手に入れることができます。注意すべき点として、同様に手に入れやすい水晶で4.0000MHzというものもありますが、IF4.0000MHz+LO3.0000MHzというような周波数構成は、受信時の内部妨害や送信時の近接スプリアスが低次で出やすいので、避けた方が賢明です。その点、IF4.9152MHzの7MHz機は、WのQRP機キットなどでも実績があり、まずまずの選択だと思います。
さっそくFujiyamaのIFフィルタの5個の水晶を10.2400MHzのものから4.1952MHzのものに交換してみました。ところが、制御電圧を変化させてみても、どうもSSB時に必要な2.4kHz程度の帯域を確保できません。水晶は元と同じHC/49Uタイプです。特性を測ってみると、元の10.2400MHzの水晶の見かけの端子間容量が約4.7pF程度、直列共振周波数と並列共振周波数の差が約22kHzであるのに対して、今回使用した4.9152MHzの水晶ではそれぞれ約3.8pF、約12kHzとかなり小さめです。このことは、外部の挿入容量が同じとき、帯域がかなり狭くなることを意味しています。外付け挿入容量をさらに小さくすれば帯域は広がりますが、バリキャップKV1235Zにかける電圧を最高の4.5Vにしても、約1.4kHzという狭い帯域しか得られませんでした。
バリキャップをちょっとだけ容量の小さいものに変更するというのは実際問題として難しいので、バリキャップにかける電圧の最高値を高くすることにしました。この電圧は、PTTやKEYの操作によって切り換えているT5V、R5Vという電圧をもとに発生させていますので、このT5V/R5Vを作っているレギュレータIC自体を78L05から78L08に変更してしまいました。これで、最高約7.5Vまでの制御電圧をかけることができます(逆流防止用Diの降下分がある)。設定電圧5.88Vのとき、SSB用に適当な2.4kHzの帯域を得ることができました。
なお、このときの通過帯域のようすをスペアナとトラジェネで測定した結果、キャリアポイントについては、下側(CW受信モード用)4.9130MHz、上側(LSBモード用)4.9154MHzとなりました。
前記の考慮点2にあるように、LSBモードでは、帯域を変化させることはできるものの、帯域を狭くすると音声の低域がどんどんカットされてしまい、実際上使用不能です。CWモードでは元機と同様に帯域可変機能をFBに活用することができます。
元機の受信IFアンプに使われているIFTは、同調範囲9〜11.2735MHz、巻き数比9:1という仕様で作ってもらった特注品です。内蔵の同調容量は43pFとなっています。IFを4.9MHzに変更する場合、IFTとしてFCZ07S5を使いたくなるところですが、普通のFCZコイルでは、巻き数比が3:1と小さいため、MC1350Pのゲインをかなり殺してしまうことになります。よって、ここでは、元のIFTをそのまま使い、外部に同調容量を追加することにしました。
このIFTのコイルのインダクタンスは、中心周波数10.7MHz、同調容量43pFより計算して約5.15uH程度と推測されますので、4.91MHzでの同調容量を計算すると約204pFとなります。この値から内蔵の同調容量分43pFを差し引くと161pFですから、150pFを使うことにします。この値で、コアの調整によりうまく4.91MHzでピークを見つけることができました。
7MHz以外のバンドの定数例 |
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L401/402 |
C401/403/404/406 |
C402 |
C405 |
C407 |
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3.5MHz |
2.03uH (26t) |
820pF |
240pF |
120pF |
None |
14MHz |
0.51uH (13t) |
220pF |
62pF |
27pF |
None |
21MHz |
0.36uH (11t) |
150pF |
39pF |
18pF |
None |
28MHz |
0.24uH (9t) |
120pF |
33pF |
12pF |
None |
最後に、受信高周波増幅段や送信バンドパスフィルター、送信前置励振増幅段などの18MHz同調回路をすべて7MHz同調回路に交換します。7MHzの場合には、FCZ07S9と150pF、あるいはFCZ07S7と100pFが適しています。
アンテナ切替スイッチ回路の直列共振回路については、L501(4.7uH)を10uHに交換しましたが、トリマの調整だけでもなんとかカバーできるかもしれません。
調整で特に難しいところはそれほどありませんが、IF帯域可変フィルタとキャリア/BFO回りについては、使用する水晶によって特性が様々ですので、まず何らかの方法でフィルタの通過帯域特性を測定し、これに基づいてキャリアポイント等を決める必要があります。
調整完了後、簡単に受信感度や送信スプリアスを測定してみました。受信感度については、-10dBuV EMFがクリアに受信できますので、まずまずです。送信スプリアスについては、ワーストが第三高調波で-55dBc程度。それ以外はすべて-60dBc以下に抑圧されています。いずれも元機と同等の特性といえます。送信出力は電源電圧13.8V時に3.2W程度です。
では、GL!