MC3362利用の7MHzトランシーバのブロックダイヤグラムとごく簡単な説明 |
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MC3362はナローFMダブルスーパー用ICで、200MHzまでの入力周波数を10.7MHzの1stIF、455kHzの2ndIFに変換するためのミクサ、局発回路を含んでいます。ミクサはそれぞれ20dB前後の変換利得があります。また、1stLOは、バリキャップを内蔵しており、タンク回路用のコイルを外付けするだけでVFOを構成することができます。ただし、本機では5MHz帯のVFOとするために180pFのシルバードマイカコンデンサも外付けしています。7MHzのCWバンドは狭いので、可変範囲はこれでも十分確保することができます。なお、上のICの内部ブロックダイヤグラムでは本機で使用していないFM用のIFリミッタアンプ回路やクワドラチャ検波回路の部分は省略してあります。 MC3362はとうとうモトローラのサイトからも姿を消してしまいましたが、同様の新しいICも出ているので、入手できたらまた実験してみようと思います。また、MC3362もまだ通販店等で入手可能かもしれません。MC3362も代替品も手に入らないが、作ってみたい!という方は、MC3362のかわりにNE/SA612を2個でやってみてください。ほとんど似たような結果が得られると思います。これは、実はNorCal-40AやSSTなど海外のQRP機キットでよく見られる構成と同じになります。 IFアンプが2SK241の1段だけで本当に大丈夫なの?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、ミクサ自体が高い変換ゲインを持っている(上のIC内部ブロックダイヤグラムではポストアンプを付加した書き方をしています)ので、HFのローバンドあたりはこれこでも十分な感度を得ることができます。ただし、AGCはオマケ程度と考えてください。当初のバラックセットでの実験では、IFアンプなし、AFアンプもなしで、2ndMIXの出力にクリスタルイヤホンをつないでいましたが、これでも7MHzのQSOがうるさいぐらいに受信できました。ですから、欲張ってトランシーバにせずに、7MHzポケット受信機として作るというのも面白いと思います。この場合には、MC3362と入力同調回路、VFOのタンク回路、水晶フィルタ(これも3エレぐらいで十分?)、2ndLO用の水晶1個だけで構成でき、電源は006Pか単3x4本で済みます。IC自体は2Vくらいから動作するので、バリキャップの可変範囲さえ確保できれば、単3x2本でもいいかもしれません。 別ページの回路図をご覧いただく際に留意していただきたい点を何点か補足説明しておきます。 まず、送受信のアンテナ切り替え回路は、送信時に受信側に入れた直列共振回路のLの両端をダイオードスイッチでグラウンドに落とす回路になっています。送信時には、このCがLPFのCの一部として動作することになります。本来はこのC分をLPFの計算に入れるべきですが、容量が小さいので、無視しています。受信時には、直列共振回路が(理想的には)ロスなく信号を入力同調回路に導いてくれます。 1ピンと24ピンにぶら下がっているダイオードスイッチの役割がぱっとみて分かりにくいかもしれませんが、これは、もともとバランス入力になっている1stMIXの2つの入力ピンを送受信時に交互にグラウンドに落とし、他方から受信信号または送信時のキャリアを入力するためのものです。こうせずに24ピンをグラウンドに固定して、1ピンをダイオードスイッチで切り換える方法もないではありませんが、そうすると、2ピンの送信キャリア信号がもともと物理的に近いために、アイソレーションの不足で不都合が生じてしまいます。 なお、本機でスイッチとして用いているダイオードは、1SS53です。これは、普通の1S1588などとくらべて、非常に少ない電流でONになるため(逆にOFF特性はやや劣る)、バイアス用の抵抗も10kオームと大きめの値になっています。1S1588やその同等品を使う場合には、これを2.2kほどにしないと、ON時の通過ロスが大きくなります。 使用しているインダクタのうち、コア材を明記していないものは、BPF用も含めて固定のマイクロインダクタを使っています。これも海外のキットから学んだノウハウです。 |