430MHzAMトランシーバを作りました

2005年1月
2006年1月更新


430.550xtal.jpg2004年夏のハムフェアに向けて、430MHzのAMトランシーバを作ろうという動きがJG6DFK/1児玉さん周辺から勃興し、その具体的第一歩として、9次オーバートーン発振させると430.550/3MHzになるはずの水晶を児玉さん経由で特注することになり、私も2個注文しました。これがその水晶です。ところが、私の経験不足ゆえ、この9次オーバートーン発振はどうやっても不安定で、ちょっとしたはずみで7次オーバートーンに飛んでしまったりするので、仕方なく私は地道に基本波をVXO発振させてコレクタ同調回路で3逓倍出力を取り出し、さらに3逓倍を2回行って430MHz台にすることにしました。

 

430amtx_barracktest.jpgこれは、VXO発振×3×3×3=430MHz帯の発振部のバラックテスト基板と、出力増幅段を載せたキャビティもどきユニットです。FCZ基板上で430MHz帯の同調回路を組んだ方は過去にあまりいないと思いますが、この組み合わせで一応ちゃんと430MHzの10dBmくらいの信号が出ました。VXO発振×3逓倍段には2SC1906、その後の3逓倍段2段と出力増幅段には2SC3355を使っています。最初はふんだんにストックのある2SC3356を使ってみたのですが、米粒みたいに小さく、FCZ基板のランドとランドの間に届かないので、3355に変更しました。

 

430am_trippler_trippler.gifこれは、3逓倍段3段の直後の出力のスペクトルです。かなり低調波や高調波が出ているのが分かります。出力レベルもまだ0dBmほどです。

 

430am_final.gifこちらは、出力増幅段のあとのスペクトルです。目的波以外の余分な信号はばっさり切れてほとんどなくなっているのが分かります。キャビティもどきとはいえ、しっかりシールドした箱に同調回路を組んでやることで相当いい結果が得られることが分かったので、受信部も含め、UHFの信号を扱う回路はすべてこのように組んでやることにしました。

 

月日は過ぎ、とっくにハムフェアも終わり、新宿忘年会も間近となったので、受信部の試作にとりかかりました。手元にあった20MHzの水晶で7次オーバートーン発振回路を組んでみると、これはあっさりうまくいき、140.037MHzくらいで発振してくれました。そこで、これを3逓倍する回路と430MHzの高周波増幅段、ミキサを一つのキャビティもどきに組んでやりました。

ところが、ここで大失敗。苦労してとりつけた「米粒の輪切り」(NGC鈴木さんの名言)みたいに小さなGaAsFET、2SK571が電源を入れたとたんにガツーンと0.7Aくらい流れて昇天。原因が分からないまま、苦労して石を交換すると、またしても同じ。あっと言う間に2個立て続けに失ってしまいました。そこで秋月からもらったデータシートに初めて目を通すと、何と足の並びを天地逆に見ていたことが判明。つまりゲートとドレインを逆につないでいた訳でした。やっと最後の3個目で成功。16dBほどのゲインを得られました。ていうか、この秋月の2SK571、以前スワローのプリアンプキットに入っていたものより足も短いし、データシートのピン配置図の中の本体の「A」という記号は手書きで書いてあるし、本当に2SK571なの?という疑問も若干あります。

ミキサでも大苦労。やはりだいぶ昔に秋月で買った3SK103というUHF用のデュアルゲートFETを使い、第2ゲートに局発信号を入れてみたのですが、変換ロスが大きすぎてまったく話になりません。どうやら、この方法では、第2ゲートかなり大きな局発信号を入れてやらないとうまく変換してくれないみたいです。しかも、そうこうするうちに、こんどはミキサー段でガツーンと0.5Aも電流が流れて昇天。忘年会で諸先輩に話すと、ダイオードDBMがいいんじゃないのとのことでしたので、ここはTUF-1でも使ってやることにしました。

それからまたほったらかしのまま幾日もすぎ、いよいよ年の瀬も押し迫ってきました。完成目標は1月8日の新年会なので、年末年始休暇中に何とかしなくてはなりません。

 

430amtrx_front.jpg年末年始休暇中の途中経過は省略して、新年会まであと3日ほどとなったところで、ようやく完成しました。これは正面図です。

電源コネクタも含めてすべてフロントパネルに出しているので、ケース加工はフロントパネル1枚だけ。この方法は板金工作が苦手な方におすすめします。ポンチを打って、2.5φの刃で下穴を穿ったのち、VR類は7φ、イヤホンジャックは6φ、大穴は8φで開けてリーマーで拡大、と一気に穴あけ。ラジケータの穴だけは現物合わせしながらハンドニブラで切り広げて、1時間ほどでケースも完成しました。どことなくFDAM-3風になりました。

レタリングを施すのが面倒だったので、受信ダイヤル目盛なんかマジックで書いてしまいました。一応430.380〜430.820MHzをカバーしています。結構等間隔目盛です。送信は、児玉さんの430.650MHzスポット機に合わせて、現状では430.550〜650MHzの100kHzカバーにしてあります。この銘板周波数430.550MHzの水晶では、430.650(÷27)MHzはVXOで動かした場合上限に近く、ここを含めようとすると可変範囲はこのように狭くなってしまいます。もうちょっとコアを入れると、27逓倍ですから楽々500kHzくらい動かせます。受信でダイヤルを合わせてから送信周波数のキャリブレーションを行うので、ダイヤル目盛はありません。

 

430amtrx_inside.jpgこれは内部の様子です。サンハヤトのグラウンドパターン付き基板の横幅がぴったりタカチのケースに納まるので、奥行きだけちょっとHOZANの基板カッターで切り落として使っています。キャビティもどきは試作回路をそのままマウントしているので、実際に基板に組んだのは140MHz台までの回路だけ。右の一番上にあるICは児玉さんの回路をパクッたCMOSインバータと2SA1015による変調回路です。その下に4個FCZコイルが並んでいる付近が送信用143MHz発振・逓倍回路、その下が受信用140MHz発振・逓倍回路、一番下のごちゃっとしたあたりがLA1600による10MHz帯の親受信回路です。

それにしても、何でミニチュア同軸コネクタをこんなにふんだんに使用しているのか、怪訝に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、試作=本作みたいな自作機器の場合、ユニットごとに切り離してスペアナやSGをつなげるようにしておいたほうが何かと便利だからです。(写真をクリックすると大きくなります)

なお、この最終段階近くになってまたしても2SK571を飛ばしてしまったので、もう「米粒の輪切り」はこりごりということで、FCZ寺子屋シリーズのプリアンプキットに入っていた3SK113に変更しました。

さて、完成した430AMトランシーバはちゃんと動きました。正確には、だいたい動きました。まだ受信部の局発の最後の3逓倍段のあたりがちょっと発振気味で、ときどきガリガリ雑音が出ますが、ちゃんと児玉さんの信号を5mくらい離れて受信できました。送信は、8dBmほどの出力で、ちょっと過変調だと言われましたが、これはたんにマイクゲインを最大にしてあったからでした。児玉さんから、「これ、送信時にパワーメータが振れないんだけど」という指摘もいただきましたが、これはたんに受信時のSメータとしてしか配線していないだけでした。SRI

もうちょっと時間があったら、見通しで何m離れて交信できるかトライしてみればよかったかもしれません。430MHzのトランシーバの自作は始めてでしたので、いろいろな点で大変勉強になった半年でした。

(ここまで2005年1月)

430am_circuitschema1年ぶりに回路図を描きあげました。クリックするとピクセル等倍で表示されます。

送受信切り換え回路など、分かりきった部分は省略してあります。また、変調回路は、児玉さんの回路をそのままもらいました。LA1600を使った10MHz台の親受信機の入力同調回路など、バラックテストもメモもなしに作った部分で、いくつか定数を確認できなかったものがあり、「???」と記してあります。その他にも、1年という時間の経過により、記憶があやふやなためいい加減な部分があるかもしれません。SRI